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秋の暮

*今日の歌

電気店の大画面にて相撲取りの

 胴体が転ぶを見し秋の暮

 

あの御仁ならホームレス等の車座に

 混じり愉快に飲み食ひをらん

 

さしものサラも路上キスを見せられて

 「何してるのよ!」と叫びたるかは

 

家政婦兼替え玉ならばヒラリーの

 影武者説もあり得る鴨夜

 

 三日前の雨の降る日に、かのかたつむり歩きの爺さんが、雨に打たれて歩いていた。せっかく雨傘を持っているのに差そうとしない。杖代わりに傘を持って出たのか。しかし、杖なんてそんなに高いものではない。ちゃんとした杖を買ったらいいではないか。とにもかくにも傘を差さずに、左手に傘を持ち、右手でフェンスや壁にすがって歩いている。傘を差してあげるべきなのだが配達にいかなければならないので、爺さんを追い抜いて駐車場へ。帰りに見るとアパートの恐ろしく急な階段を登るところだった。一応住所がわかったので、こんどにたような場面に遭遇したら、傘を差してやろう。あの爺さんだったら、「構わんでください」などと言って反抗しないだろう。

 区の老人福祉関係の女の子が「困ったことがあったら、いつでも連絡してください」とパンフと名刺を置いていったが、あの言葉を額面通りに受け取ってよいものかどうか。言葉だけ福祉の可能性もある。

 一億総活躍社会とは、一億総自己責任社会の意ではなかろうかこのごろ考えるようになった。雨に濡れて、アパートの急階段を登って行く爺さんの姿を想像すると、そう思えてならない。