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サッカリン

 *昔の歌

 

痺れつつ舌にひろごるサッカリン

 北の戸口の粗き青空

 

騎馬戦の騎馬のまま来て弟が

 柱時計を巻く聖五月

 

 ここのところ歌が書けていない。歌が書けないとどうしてもブログの更新が疎かになりがちになる。ブログを書かないとますます歌が書けないという悪循環に陥る。これではいけないので歌が書けない時は昔の歌を掲載して間を持たせることにした。

 昔の歌を目にすると気持ちが不安定になる。模倣のデパートような歌が多いし、文法的に怪しい歌も少なくない。無理な表現もあったりして、安心して読める歌は僅少だ。しかしこの辺で気持ちを不安定にして半世紀昔の歌を読み返すのも、一つの身辺整理であるだろう。物理的身辺整理同様、作品的身辺整理もまた必要なことだ。

 

 ネット検索で次のような記事に出会い勉強になった。「(サッカリン)水溶液は砂糖の350倍あるいは200-700倍の甘味と、痺れるような刺激の後味を持つ。ただし高濃度で苦みを感じるため、糖類系の甘味料に混合使用されることも多い。サッカリン自体はほとんど水に溶けないためチューインガムにのみ使われ、通常は水溶性ナトリウム(サッカリン酸ナトリウム)としていろいろな加工食品に用いられる」ということだった。

 サッカリンは水に溶けない。これで解せる。サッカリンで甘い「ジュース」を作ろうとしたが、期待したような甘味が得られない。その結果サッカリンを直接舌に乗せることになったに相違ない。なんだか60年前の記憶が蘇ってきそうだ。

 サッカリンは戦後の物資不足の時代の非常食かと思っていたら、なんと今でも加工食品に使われているようだ。缶コーヒーや菓子類など、砂糖だけでこの甘みを出すのは無理では、と思うことがしばしばだったが決め手はサッカリンだったのだ。アマゾンでも注文できるみたいだから、今度取り寄せて、60年ぶりにあの痺れるような甘味を味わってみよう。

 「北の戸口」とは流し場の出入り口。裏口。「裏」は隠し事、秘め事、罪悪感の喩でもある。青空を見る最適の場所は裏口でもある。

 

 二首目。この歌についてはあまりコメントしたくない。老成の立場から、たとえ自分の歌ではあっても、「模倣のデパート」などと言うべきではないだろう(爆)・